【報告】原発新安全基準「5年猶予」「大飯原発除外」の撤回を求めて記者会見と政府交渉

みなさまへ(転送・転載歓迎)

昨日(3/26)、原発の新安全基準の「5年猶予」問題と、大飯原発の特別扱い(定検まで不適用)の撤回を求める記者会見と政府交渉が行われました。

配付資料はこちら⇒【資料】3/26(火)<記者会見&政府交渉>原発新安全基準の「5年猶予」「除外」で犠牲となるものは?

 

(記者会見)
記者会見は、原子力規制を監視する市民の会の主催で、阪上と杉原さん、菅波さん、司会を兼ねて満田さんが発言し、同会のアドバイザリーグループのメンバーでもある井野博満さん、後藤政志さんにも発言いただきました。

会見の様子は、東京新聞にカラー写真付きで掲載されました。監視市民の会の目玉マークが入ったのぼりもバッチリ映っていました(記事は後ろに付けます)。

 

(政府交渉)
その後、規制庁との交渉に移りました。

交渉には、福島みずほ議員、三宅雪子前議員も参加されました。

規制庁側は、今里和之(安全規制管理官付(BWR担当)管理官補佐)、布田洋史(安全規制管理官付(PWR・新型炉担当)管理官補佐)、渡辺桂一(安全規制管理官付(地震・津波安全対策担当)管理官補佐)の3名が対応しました。

冒頭で、監視市民の会の若井さんより、5年猶予の取り消しと大飯原発の特別扱いをやめること、パブコメをきちんと検討し、電力会社だけでなく批判的な専門家からもヒアリングを行うよう求める要請書を提出しました(後ろに付けます)。
その後事前に出していた質問書にしたがってやりとりしました。


(交渉内容・5年猶予)

5年猶予については、その根拠が何であるのかを、3月19日の規制委員会本会議で出てきた「田中私案」をもとに問い質しました。

規制庁側は、田中私案に、

①今年7月の新規制の施行段階で、設計基準事故及びシビアアクシデント対策として必要な機能をすべて備えていることを求める。

②シビアアクシデント対策やテロ対策の信頼性向上のためのバックアップ対策については、施工後5年までに実現を求める。とあるうち、

①の文言を繰り替えしていました。

しかし、厳しく規制にあたる立場であれば、①だけでよいだろう、なぜわざわざ②をつけたのか、その根拠は何かと聞くのですが、何度聞いても①の内容の繰り返しで回答はなく、根拠がないことが明確になりました。なぜ5年かという問いにも、「設置に時間がかかるから」と述べるだけでした。

後藤政志さんからは、PWRのフィルター付ベントを例にあげながら、5年猶予もたらす安全上の問題について、技術者の立場での指摘がありました。

この問題で更田委員は、当初「安全設備をすべてそろえるのに3~4年かかる、その後に稼働すると長期停止後の再稼働のリスクが出てくる」などと述べていました。だとすると中越地震後長期停止状態にある柏崎刈羽原発は動かせないことになります

最近では、「即時の適用は教条主義的だ」「日本をまたガラパゴスに後戻りさせないためにもこの方針は守られるべき」などと意味不明なことを言っています。

5年猶予が、電力会社の都合に合わせすぐに再稼働にするためのものであることは明白です

更田氏はいろいろ理由を考えたが、論理破綻して田中委員長に泣きつき、委員長主導で強引に進めようとしているのではないでしょう


(交渉内容・大飯原発)
また、大飯原発の扱いについては、4月中旬ごろから、おそらくは新安全基準の次のパブコメ案にしたがって「確認作業」を行うとの回答でした。

それは法的な手続きかと聞くとそうではないと。となると月に新安全基準が施行された後も運転を続けると違法状態ではないかと聞くと、大飯原発は現行の法律に基づいて動いており、その状況は新安全基準が施行されても変わらない、だから問題ない、と。

しまいには、「確認作業」について、これで失格すれば運転を中止させる、やらなくてもよい作業をやるのだからよいではないかと開き直る場面もありました。

これに対し、会場からは、これはバックフィットでない、活断層の調査中で、他の原発は申請すらできないのにおかしい、防潮堤のかさ上げも終わっていないではないか、と批判の声があがりました。

規制庁からは回答らしい回答もなかったのですが、5年猶予や大飯特別扱いに根拠がないことが明らかになりました。この問題がマスコミ、議員を含め、参加者にインプットされたのも良かったと思います。引き続き、声をあげていきましょう。

阪上 武(原子力規制を監視する市民の会)

以下、東京新聞の記事と提出した要請書です。
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東京新聞記事(写真付)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013032702000117.html

「原発新基準対策 5年猶予撤回を」 市民団体、規制委に要望

 原子力規制委員会が原発の新規制基準導入に向け、一部の対策に五年の猶予期間を設ける基本方針を示したことに対し、「原子力規制を監視する市民の会」が二十六日、撤回を求める要請書を規制委事務局に提出した。
 要請書では「安全のためには何でもするのが規制委の出発点だったはずが、安全よりも電力会社の都合を優先した」と批判。「地震も津波もテロも猶予期間を待ってくれない」と指摘した。
 井野博満東京大名誉教授は同日、都内での会見で「猶予する理由の明確な説明がない。できることは全てする姿勢が大切だ」と強調。元原発設計技術者の後藤政志氏も「猶予期間に事故が起こらない前提に立っている。事故があれば最悪の事態になりかねない」と訴えた。

  基本方針では、第二制御室を備えた「特定安全施設」など、過酷事故対策やテロ対策のバックアップ設備の一部に猶予期間を認めている。

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(要請書)


2013年3月26日

 原子力規制委員会委員長 田中俊一様

 原子力規制を監視する市民の会

<<要 請 書>>

新安全基準の適合に「猶予期間」を設けるのをやめてください
新安全基準の適用に際し、大飯原発を特別扱いしないでください

【要請項目】
1.新安全基準の適合に「猶予期間」を設けるのをやめてください。「猶予期間」を盛り込んだ「田中私案」を撤回してください。
2.新安全基準について、大飯原発3・4号機を特別扱いせず、即座に適用したうえで、停止させるなど必要な措置をとってください。
3.パブリック・コメントで寄せられたすべての意見ついて、検討チームで検討し、福島の事故原因の解明優先や設計の見直しなど、根本的な問題の指摘も含めて、骨子に反映してください。
4.電力事業者だけでなく、批判的な専門家や市民・住民・福島原発事故被災者からもヒアリングを実施してください。

【要請理由】
地震や津波は5年間待ってくれるのか?
 原子力規制委員会は、シビアアクシデント対策について、特定安全施設や恒設のポンプなど、設置に時間がかかる設備について、5年の「猶予期間」を設け、こうした設備がなくとも再稼働を認めようとしています。3月19日午前に行われたの原子力規制委員会の定例会合で、田中委員長の私案として示された文書には、「新規制導入の際には、基準への適合を求めるまでに一定の施行期間を置くのを基本とする」とあります。更田委員は、「一律、即時の適用は硬直的で教条主義的」「一定の施行期間を置くのは国際的にも常識」「日本をまたガラパゴスに後戻りさせないためにもこの方針は守られるべき」などと述べていますが、これは猶予期間を置く説明にはなっていません。
 安全のためには何でもやるというのが、原子力規制委員会における議論の出発点だったはずです。日本はいま、地震活動期の只中にあります。5年の間に大きな地震や津波が原発を襲わないとは限りません。それとも、地震も津波もテロも、猶予期間中は待ってくれるとでも言うのでしょうか。

「猶予期間」は安全よりも電力会社の都合を優先するもの
 時間がかかる対策については猶予を与えるというのは、大飯原発の再稼働時にとられたやり方です。安全を捨て、電力会社の都合を優先させたものにすぎません。原子力規制当局が一番やってはいけないことです。
 また、このような猶予を認めず、すべて再稼働の要件にせよという要求は、パブリック・コメントでも多く寄せられたはずです。これを無視して、パブリック・コメントの検討を行う検討チームの議論とは切り離して、委員長の独断で決めようとするのは、手続きとしても問題があります。

大飯原発だけは差別的に新安全基準を適用せず!?
 さらに原子力規制委員会は、同じ3月19日の定例会合において、7月に施行予定の新安全基準を運転中の大飯原発3・4号機には適用せず、9月に予定されている定期検査まで運転を継続させる見解を示しました。
 新安全基準は、既存の炉にも適用され(バックフィット)、電力会社は改めて申請をして審査を受けなければなりません。また、破砕帯調査中の原発については、その結論が出るまで再稼働の申請はできないとされています。破砕帯調査中の大飯原発は申請すらできません。さらに、防潮堤のかさ上げを申請の条件にするとしていますが、大飯原発の防潮堤の完成は来年3月予定です。
 大飯原発だけは例外的に運転継続を認めようというは、差別的な対応であり、基準を厳しくする意味がありません。

パブリック・コメントでの根本的な意見に対して、しっかり審議を
 新安全基準の骨子案に対するパブリック・コメントは、地震・津波基準が1,541件、設計基準及びシビアアクシデント基準が2,838件にのぼりました。この種のパブリック・コメントとしては非常に多い数です。
 原子力災害対策指針のパブコメ対応とは異なり、検討チームによる検討が行われました。しかし、地震・津波基準については、たった1回の会合で、活断層の定義の基準を「40万年前以降」とすべきといった肝心な指摘については反映されませんでした。また、地震による配管破損の可能性について、東電が国会事故調の調査を妨害し、十分な調査が行われていない問題については、議論すらありませんでした。
 設計基準及びシビアアクシデント基準については、3月19日の検討チーム会合において、最初の検討が行われました。出された資料は、主なパブリック・コメントとその対応について簡単にまとめたものであり、しかも説明があったのは、事務方が勝手に反映の余地があると判断した項目だけでした。
 格納容器などの設計の見直しを求めるべきではないか、可搬設備による対応は不十分ではないか、放射能の放出を前提としたベントによる対応に期待するのは問題ではないか、特定安全施設については地震や津波対策を目的にすべきではないか、こうした恒久設備の設置なしに再稼働を認めるようなことはあってはならない、といった安全確保の根幹に関わる意見については、「要検討」とはなっておらず、検討すらされないおそれがあります。検討チームの会合では、利益相反が問題となっている委員が、パブリック・コメントとの検討というよりは、要求する可搬設備が多すぎるといった、電力会社に有利な持論を蒸し返していただけでした。

電力会社からだけヒアリングを実施
 3月28日には、2回目の検討チームによるパブリック・コメントの検討が行われます。その前の3月25日には事業者からのヒアリングが入りました。電気事業者からのヒアリングは、パブリック・コメント前にも最中にも行われました。
 事業者に対しては何度もヒアリングを行っています。一方で、批判的な専門家や一般市民・住民や福島原発事故被災者からのヒアリングは未だに行われていません。これは手続きとしてたいへんに問題であり、原子力規制委員会は、事業者に有利な基準をつくろうとしていると言わざるをえません。

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